建設ジャーナルより 「建設ジャーナル」2007年8月号掲載記事より



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KJ2010.1「光と風と遊び心へ The HOTEL スカンジナビアモダンへ

 

建築は一つ一つが特殊解
外山暁啓 いろいろなジャンルの建物を設計されており、しかも、それぞれ特色があって、一つとして同じスタイルの建築がないのが不思議ですね。

及川政志 コーポレートアイデンティティーのマークも同じですが、「建築は一つひとつが特殊解であり、クライアントと一緒に、人と空間のかかわりを追求していく」という姿勢の結果だと思います。
ShowBase2000初期スケッチ
外山 どれも雰囲気のある手描きのパースやスケッチですが、CGパースは作らないのですか?

及川 クライアントから要望されない限りCGパースは作りません。所員にも面倒くさがらずラフスケッチでイメージを表現するよう言っています。
リアルな模型やCGパースはそこに現されている以上の発展はありません。
手描きのスケッチはいろいろ省略されている分、施主にとっても、我々、設計側にとっても夢や想像力をどんどん膨らませていってくれますし要点も表します。
透明アクリル板を使った模型などが想像力をどんどん掻きたててくれるのも同じことだと思います。

 
 

デザインとエンジニアリング
外山 20人弱の規模で構造、設備、電気などのエンジニアリングまで含んだ設計事務所は珍しいですよね。

及川 うちの場合は東京ディズニーランド、東京ディズニーシーなどの計画をやる上で、  常にデザインとエンジニアリングのコラボレーションが必要でした。ちょっとしたことでもすぐ聞き合えるので、速くて的確です。
経営的には大変ですが、初期段階で色々な可能性を探る事ができ、新しい発想にもつながります。これはすごい利点です。
事務所では多種多様な考えや能力の人がいることが総合的な力だと思います。

 
 

海外での業務2005.09.15スケッチ
外山 海外でも仕事をされているようですが、国内の仕事と比べてどんなところが大変ですか?

及川 過去のプロジェクトで海外のデザイナーやエンジニアと一緒になる機会が多かったせいか、身構えることなく海外のクライアントの仕事を受けることができました。現在、海外では5件目が進行中です。
アメリカでも韓国でも香港でも同じでしたが、海外業務では契約内容をスタッフ全員が熟知して業務をする事が重要だと思います。
何ができ、他に比べてどのような違いがあるかを説明して必要と認められた部分を業務とします。契約見積にないことをしても、クライアントにとっては必要と認めていない業務な訳ですから、必要ならばそれを認めさせることが大事です。
この部分がきちんと整理されていれば、得意分野のみを受けているだけに国内の業務よりやり易い面もあります。

 
 

及川氏の原点、事務所の原点
外山 お話を伺っていると、視点がとても面白いのですが設計をする上で一番影響を受けた方はどなたですか?

及川 多くの人と出会い、いろいろな人の影響を受けました。強いて挙げるなら、私が20代の頃にお会いできた、村野藤吾氏、吉阪隆正氏、清田文永氏だと思います。
 
 

<ものづくりの基本を見る2005.09.15スケッチ2
村野先生とは大学2年生のときに同窓会の学生委員をおおせつかった関係でお話しさせていただく機会があり、現場にも連れて行って戴きました。

   迎賓館の改修工事をやっておられた頃で現場や職人から学び、一緒に考えて作っていく熱意と姿勢が強烈でした。それからずっとこの姿勢を理想として私なりに心がけていました。25年間以上かかわった東京ディズニーランドのプロジェクトではこの姿勢が大いに助けとなりました。
 
 

<一日の会話が大学四年間に匹敵>
吉阪先生は、卒業設計の指導教授でした。設計趣旨を説明してから、2ヶ月ほど案を練り、提出2週間前に最終案を説明に行きました。当時、先生は理工学部長をなさっておられ、多忙で来客の度に中座され、夜までかかってしまいました。
先生は「昼食無しで腹がすいただろう」と天丼を取ってくれ、「初期の説明から大きく外れて意図がわからなくなっている。設計で飯を食っていくつもりなら、これでは卒業させられない。もう1年間勉強したらどうだ」と言われました。どうしても卒業したいと言うと岩登りの話をされました。

2004.02スケッチ  「岩登りでは、最初に壁を見た第一印象がほとんどの場合で正しいんだ。一旦岩に取り付いてしまうと、ディティールばかりに目が行き、わからなくなってしまうものだ。岩登りで大事なのは第一印象での目標を見失わずに、しかもその第一印象にもディティールにも捕われないフリーな意識とのバランスだ。
計画は岩登りに近い。設計を志すなら、まず第一印象を適確に捉える訓練と、これを育みながら進めていくやり方を自分なりに体験するまでは卒業はさせられない。どうしても卒業したければ、もう一度始めから案を作り直して見なさい」と言われました。
この一日の多くの会話が、大学で受けた財産の大半を占めるような気がします。

 
 

<デザインとは妥協を許さぬ前向きの熱意>
清田先生には、卒業後、梓設計で、12年程仕事をさせてもらいました。
ある時、デザインのことでやりあった末、「君が生まれる前から僕は建築をやっているんだ。もし失敗したらおまえの責任。成功したらそれを認めた私の功績だ。」と怒鳴りながら言われました。竣工式の時そのことを覚えておられ、微笑みながら「なかなかいいね。君の功績だね」と言われました。妥協を許さぬ可否の厳しさと素直で前向きな姿勢に「フリーな意識バランス」の意味の一つを知りました。
また「何ですぐに手を動かさないんだ!」とラフスケッチを描きながら説明するよう、よく怒られました。そのうち知らない間に、ちょっとしたことも立体的に考え、絵にすることが癖になっていました。

 これ等エピソードの一つ一つの意味が、自分で事務所を主宰するようになって、なお一層よくわかりました。この3人からの影響が私の建築の原点であり、事務所の原点でもあるような気がしています。     O計画イメージ画

 

 

 

 

 

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